産院パニック。

木曜日に出産予定の産院の不祥事が大々的なニュースになったことは書いた。

数日様子を見ていると、なんとなく事件の背景が見えてきたというか、背後のどろどろしたものが見えてきたというか・・・。

要するに、医者と助産師のプライドの戦いなんだろうな。件の病院は年間3000人が産まれるといっても、所詮は単科の個人病院。院長の「色」が全面に出ているし、「オレ様の経営する病院なんだから、オレ様のやりたいようにやる」できっと40年来てしまったのだろう。1人目で入院して「院長様々なんだねえ」とは感じたけど、それでも産科医療というものに情熱を持っていることは十分わかったし、個性は強いかもしれないけれど、悪い医者ではないと思っている。

だからこそ2人目もあそこで、と考えたわけで。

ただ、看護師や准看護師に内診を任せることが違法なら、法は順守してもらいたい。医師のプライドを保つためにそうしていたのだろうけれど、それは法を守った上で、根拠があるならば正々堂々と戦うべき事であって、患者に違法行為を行って良いという話でない。あれだけ発言力がある(だろう)立場なのだから、ワンマンに「オレ様」をやめれば、医師会が協力してもっと厚生労働省との妥協策が探れそうな気がする。

新聞各社の記事にも温度差がある。M新聞は辛口だ。というか、悪意まで感じる書き方をして、世間を煽っている気がする。A新聞は淡々と事実を書こうと努力しているのか言調を抑えている印象、Y新聞は病院側というか、現状(厚生労働省と医師会の見解の温度差、助産師偏在)に対して同情的な論調が多い印象。

「サービス駆使し“独り勝ち”」なんて嫌みな書き方をしている新聞もあるが、果たして件の病院の「サービス」が他院そんなに違うのか? と言えば自前で救急車を持っている、退院時にベンツで送って貰える(これだって有料ですよ)、以外は「そんなことはない」という感じだろう。入院中にマッサージなんてのは助産院だってやっている。洗濯物や上の子の面倒(子連れ入院)なんてのも助産院では当たり前でしょう。

記者は実際に自分自身が2人以上の子供を産んで、他の産院を体験していて書いているのだろうか(わけないよな、あの書き方だったら)。1人でも出産したことのある人ならわかるだろう。お産は何があるのかわからないのだ。医療が発達したからといって、医師や助産師が付きっきりだったからといって、100%何も起こらないわけではない。出産には一人ひとり違った事情がある。

たとえば私自身、1人目は37週微弱陣痛、低体重出生だったが、その晩陣痛が追いついてから(促進剤などは使っていません)の出産所要時間は「3時間半」だ。たまたま37週の検診で微弱陣痛が見つかりそのまま入院となったから入院してから陣痛が追いついたわけだけど、その日が検診でなかったら? これが2人目だったら? 経産婦のお産は、初産に比べてスピードが速いのが常識(2~3倍)。自宅に上の子と2人きり、突然7分おきの陣痛が来てエレベーター無しの4階から上の子を連れて、タクシーを呼んで乗って、車で30分かかる病院に入院ですか? 自前で救急車を持っている病院を選択するのがいかにも悪いような書き方に、嫌悪感を感じた。

これだけ見ても、何故福島のケースのように「業務上過失致死」で担当医師を取り調べず「きわめて異例」と言われる「保健師助産師看護師法違反容疑」での捜索なのか、何か裏があると考えてみた方が良い。

某大型掲示板にはその答えに繋がるような書き込みもあった(勿論匿名掲示板だし事の真偽はわかりませんよ)。

私のように実際件の病院での出産を考えていない傍観者からはどうてもいい話なんだろうな、とは思うけどねー。もうちょっとお付き合い下さいな。

でね、市内分娩数の10%以上を担っている病院をいきなりしょっ引いたら、どうなるか。もし業務停止などになったら、今後1年ぐらいで妊娠・出産を考えていた人達にとってはあまりに大きな影響だし、少子化対策とか言っている国に「馬鹿じゃない」と一言言ってやりたくなる。

ただでさえお産難民が出始めているのに、何を考えてるんだか。てか、何も考えてないって証拠だよねえ。厚生労働省さん? そもそもこういうケースは、まず市の行政指導が入ってから悪質と判断されれば検挙になるのが筋でしょう。行政指導をすっ飛ばしたのにもなにか裏があるのかもしれない。

市の相談窓口に電話をしてみたが、期待以上の話は当然聞けなかった。まあ、当然わかっていて電話したのだけど。市として他院を斡旋できる状態ではないだろうし(そもそも件の病院自体が里帰り出産も受け付ける、つまり後期に入っても分娩予約が出来る施設なのだから)、近隣に「こういう病院がありますよ。分娩受け入れが可能らしいですよ」という案内くらいしか出来ないのが、実情だろう。市としても10%を担う病院をいきなり業務停止にも出来ないだろうし・・・お産難民を大量に出した責任は誰が取るの? って話にもなりかねない。

実際、「転院を希望する」問い合わせは「業務停止になったりしないか」という問い合わせよりも少ないらしい。つまりは業務停止にならなければ、このまま件の病院で出産したいと思っている妊婦が多いと言うことだ。

某会員制の口コミ板を読んでいても、不安を煽る書き込みよりも同調的・・・というか、出産は件の病院でしたい・するしかないけど不安だ的な意見が多い。まあ、ああいった偽善的な掲示板では批判的な意見は出てこないし、出たとしても書き方が感情的で規約に引っかかったりして、すぐ削除されるのがオチだけどさ。

年間3000人が産まれる病院だもん。年間300人が産まれる病院より「良い」という意見と「悪い」という意見と、それぞれ10倍出てもおかしくない、医療事故だって表沙汰にならなくても、統計上は10倍あっておかしくないはずだ。

「良い評判ばかり」という口コミには踊らされないで欲しい。それはどこの病院でも一緒。仕事をしているときに、「苦情を言ってくる人は不満を持っている人の3%に過ぎない。3人が苦情を言ってきたなら他に97人が不満を持っている」という内容の統計上の資料が回ったことがあった。

そういうことも加味して産院を選んだなら、堂々としていればそれでいい。ただ、選択側の不可抗力によって産めなくなることがあるのも事実だ。業務停止、業務縮小なんてのがその典型だよね。どの時点で見極めるか、それが難しい。選択を誤ればお産難民まっしぐらだもん。

私自身ですか? 妊娠初期ならいざ知らず、すでに中期。そもそも「他にナイよなあ」という消去法での病院選択だったわけで、今更他の選択肢と言われてもね・・・。

今後の判断を誤らないようにするだけです。

|